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感覚的な世界の外側

投稿日:2019-11-23

先日、理学療法士の方が骨盤底筋についての情報を、テレビ番組にて解説しておりました。

骨盤底筋を動かすことが必要
ぽっこりお腹の改善や尿漏れ対策に繋がる
腹筋に力を入れると骨盤底筋はうまく動かない

かなりかいつまむと、そんな感じの内容です。
わたしが言うのはおこがましいですが、とても良い内容だと感じました。

そのなかで、骨盤底筋が使えているかどうかを確認する方法として…。

おしっこを途中で止めるような感じにするor性器を引き上げるような感じにする

そうすると尾骨が少し前方に動くことがわかります

実際にやってみましょう!
という部分があり、各自取り組みます。

メンバーはお笑い系の男性が3名、元グラビア系の女性が1名、アナウンサーが1〜2名?という陣容です。

この小さな動きを外からの映像だけで捉えるのは非常に難しいわけですが…わたしは各自の反応や表情を見ていました。

すぐに1人の女性が、あ!分かった!
と言います。
その後に男性陣も、ああ〜、これかな〜?なんとなく…うんう〜んという反応。
そして、お笑いの1名が、全然わからん。みんな本当?こんなの人それぞれでしょ?なんとなく動く…?そんなのずるいでしょ…といった感想を述べました。

それを見て、思わず笑ってしまいました。
そうそう。この男性の反応が、まさに世間の多くの反応なんだよな〜と。

明らかな疑問…それもネガティブな疑問です。

これまで、たくさんのチームに行かせていただき、たくさんの選手たちと出会ってきました。
そういった現場での経験から言いますと、身体の奥深くの動きについての話をしたときに1番多いのが、この男性のようなタイプなのです。

目で見えないこと
すぐに実感できないこと
習ったことがないこと
初めて見聞きしたこと
身体の奥深くについてのこと
それに伴う意識のこと
などなど…。

そういった類の事象について多くの人は、

拒絶、嫌悪、呆然、恐怖、猜疑…。

そんな感情を抱くのです(経験から、あえて言いきります)。

当然ながら、

受け止める
まずはやってみる
素直に取り組んでみる

そういった前向きな感じにはなりません。

「これは難しいよね」
「自分には必要ない」
「こんなのわかんね〜」
といった感想がたくさん聞こえます。

しかし、例えば今回番組で取り上げたことについて言えば、骨盤底筋は基本的には呼吸で働く筋肉ですから、自発呼吸で生きている限り全員が動いているのです。それなのに、「わからない…」と多くの人は言います。

動きの壁
意識の壁
認識の壁
記憶の壁

そんな見えない壁がブロックしているんだろうな〜と感じます。
また、その壁は人それぞれみんな違うことも感じます。

さらに、その壁で囲まれた内側が自分の感覚的な世界だとしたら、このような事象はその世界の外側にあることと言えるのかもしれません。

話を戻します。

番組では短い時間のなかで、エコーによる映像での骨盤底筋の動きの確認、実際に手で触れての動きの確認…そこまで実施していました。

その結果として、
「分かった」と言えるであろう人がたった1人…です。
その他は、
「分かろうとした」と「は?なにそれ?」
です。

大人でこれですから、子供はもっとそうです。
今回の番組が示したこともそうですが、こういった事実が、身体の奥深くや意識へのアプローチが進まない大きな理由の1つだと思います。

しかし、こういう小さな動きに対する意識や認識の1歩を踏み出せると、かなりの違いがあることに気がついてくるのです。大げさではなく、自分の世界が拡がるということだとも思います。わたしは、そこがとてつもなく重要だと考えています。

そのためにも、目の前でコンディショニングに取り組んでいる選手たちが、
「分かろうとする」選手たち
になっていけるような後押しをし続けていくことこそが、わたしがやるべきことだと感じます。

それぞれ時間差はあれど、「分かろう」とさえできれば「分かる」ようになるのです。

時間はかかりますが、結果的にはそれが1番近道だった…というのが、いまのところのわたしの結論です。

ずいぶんと前からそういったアプローチに取り組ませていただいてますが、いくらやっても道筋は百人百様です。

むかしはかなりイライラもしました。しかし最近は、
選手本人が「分かろうとする」までは、ギャーギャー言ってもどうにもならない、
目の前にいる選手が「分かろうとしない」のは、そのときの伝達役の自分自身の力が足りていないから、
そういったことを認識できるようになりました。

そうすると、さらなる学びに触れることもできます。
わたし自身の世界も、少し柔らかく拡がったと思っています。
非常に面白いのです。

長くなってしまいました。

選手たちもわたしも、分かりにくいことに触れる時間が少しでも面白くなるよう、自分の世界の外にあることに出会うことを喜べるよう、引き続き一緒になって楽しんでいこうと思います。

-Diary

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