“治療”について

「コンディショニングの一つとしての”治療”について」

まず、わたし自身の話から進めさせていただきます。
わたしは、選手時代に数え切れないほどの様々な怪我をしてきました。
整形外科や接骨院に、どれだけ通ったことか分かりません。
そういった怪我の歴史のなか、当時 (中学生時)から治療効果を一番大きく感じていたのが鍼灸治療でした(あくまで個人の感想です)。
自分自身の我慢強さに加えて、その治療によって何とかプレイできていたと思います。 (ただ、かなりの無理を押してプレイを続けていたため、この歳になってやはりあちこちにいわゆるガタがきているのも確かです。)

その様な経験や経緯のもとでコンディショニング・コーチという立場になり、日本全国様々な場所で、多くのチーム・年代・選手たちへコンディショニングというかたちで改善や強化のサポートをさせていただいています。
それらは予防と強化が中心で治療行為ではありませんが、いわゆる運動療法(ストレッチング、エクササイズ、トレーニングなど)としての効果もあり、本人の回復が促進されて痛みや不具合の改善に繋がっていくケースも多々あるのも事実です。

しかしながら、なかなか動きが整わない選手、何をしても怪我をしてしまう選手、そもそも慢性化とも言える不具合を抱えている選手たちも大勢おります。

さらに昨今…根本的な“カラダのチカラ”が大きく低下しているであろうことを実感しています。
スポーツ現場で言えば、“すぐ体調不良になる、簡単に怪我をする、その怪我がなかなか治らない…”などです。
気候、食べ物、経済、教育、競技の複雑化…それらすべてに要因や誘因があると考えています。
その様な状況のもと、コンディショニングで行ってきた運動療法だけでは、現場でのサポートがどうしても追いつかない部分がかなり多く出てきました。
加えて、他者の身体に触れるにも関わらず、医療資格を保持していないということに対しての自己批判もありました。

そこで治療としてのサポート=医療資格保持の必要性を強く持ち、自分自身の経験から”はり師、きゅう師”の2つの国家資格を備えるに至った次第です。

さらなる研鑽を重ね続けることを前提として、現在のところわたしが考えるはりきゅう治療の利点は以下のようなものとなります。

◎洗浄や消毒などの衛生環境を整えた上で、必要最小限の道具で、どこででも出来ること。
◎診断即治療を行えるため、スポーツなどの現場対応に適していること。
◎全体観(例えば、局所の不具合は、他の場所に要員や誘因があるという考え方)を元に治療を行うため、隠れている不具合を含めた均衡を整えることができること。
◎薬などを使わない、実は非常に優しい治療であること。
◎東洋医学的な観点と、わたしが行ってきたコンディショニングの観点に、重なるところが非常に多いこと。
(他にも色々とあります。)

さて、現場で選手たちによく伝えていることとして、
「コンディショニングは、条件を良くするために行っていく」
というものがあります。
条件とは、スポーツであればその競技力を向上するためのもの、日常であれば生活を円滑に送るためのもの…ということになります。

“カラダ、動き、意識”に不具合を抱え、それらが増大していく状態のままでは、条件が向上するのは難しいと思います。

そこでコンディショニング(ここではスポーツ現場において)では、以下の4つを大きな柱として進めています。

◎予防(メンテナンス、ストレッチングなど)
◎強化(エクササイズ、トレーニング、フットワークなど)
◎技術(身体運用スキル、競技スキルなど)
◎治療(はり、きゅう、器具、手技など)

これらを状況に応じて組み合わせ、それぞれのチームや個人に合わせてプログラムを組んでおります。
いわば、フルオーダーメイドのコンディショニングです。

ただ、上記4つの柱のうちの治療面、特に”はり治療”については、現在様々な誤解や認識不足があると思われます。
例えば、主に使用するはりが、実はとても柔らかいものであることや、
簡単に種類を分けますと、
「身体に打つはり」
「身体に刺さないで押し当てて刺激をするはり」
「シールで貼り付けるはり」
などがあることを、ほとんどの方がご存知ありません。

“はり治療”ひいては”東洋医学”は、かなり広大で深遠な分野です。
簡単に…とはなかなかいきませんが、コンディショニングを進めながら、その辺りのご説明も少しずつ行っています。

前述の通り、わたし自身は中学時代から多くのケガをして、はりきゅう治療もかなり多く受療してきております。
そのことから、はりきゅう治療が様々なことに効果を出せるということを知っています。
ただし、治療側の技量によるところがかなり有るのも事実です(それは結局、医師なども同じではありますが…)。
同時に、
「もっとこうして欲しかった、ここを治療してくれれば変わりそうなんだけどな…。」
といった感覚がたびたび有ったりもしました。
そのような患者側としての経験も、しっかりと治療に活かしています。

なお、これまでの選手および指導者としての経験から、医療のメインである西洋医学での診断や治療が第一であることは十分に認識しております。
その上で、わたしの治療を含めたコンディショニングは、西洋医学だけでは手の届きにくいところへ東洋医学的な観点も合わせてアプローチし、ご本人の回復力を上げていく後押しをする=どの分野から見てもプラスに繋がり、パフォーマンスを上げるものとなります。

はり治療は、はりを体に直接刺すため、抵抗や恐怖心がある方も多いと思います。しかし(繰り返しになりますが)体に刺さないで治療出来るはりもあります。
もちろん消毒等の衛生面にも万全を期しています。
加えて、はり治療は薬などを使わない優しい治療が可能で、慢性化している疾患で辛い思いをしている方にも効果が高いものです。

長くなりましたが、ここまで記したことを“コンディショニングの柱の一つである治療”としてご理解いただければ幸いです。

2024.04

Epoch Workshop 代表 冨樫 泰彦
はり師(国家資格)
きゅう師(国家資格)
日本トレーニング指導者協会 トレーニング指導者 JBA(日本バスケットボール協会)公認C級コーチ
BASIピラティス マットインストラクター

投稿日:2024-04-18

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