育成とは?

育成とは ― 指導者としての哲学20箇条

育成とは技術を教えることではなく、人を育てること。

けれど「育てる」とは、どういうことなのでしょうか。

わたし自身、日々の指導と施術を通して、自分に問い続けてきました。これらはその積み重ねの中で見えてきた、わたしなりの“育成観”です。

一人ひとりに違う成長のかたちがあるように、育成にも多様なまなざしが必要です。以下の20項目は、すべての選手、すべての子どもたちに接する中で、心に留めておきたいことばかりです。

1. ただ褒めることではない

褒めることで終わってしまっては、内省も深化も起こらない。

2. ひたすら怒り、けなすことではない

恐怖で動かすことは、成長ではなく服従につながる。

3. 指導者が過去に見知ったことだけを伝えることではない

経験の押しつけは、相手の可能性を狭めてしまう。

4. そもそも「教える」ことではない

教えることで満足せず、伝わるまで向き合う姿勢が大切。

5. 伝えること、伴に進むこと、伴走者であること

指導者は上から見る存在ではなく、隣で歩む存在。

6. 目先のことにとらわれることではない

勝ち負けや結果に囚われすぎると、大切な過程を見失う。

7. 結果を積み上げられるように導き、後押しすること

ただ見守るだけでなく、方向を照らす灯でありたい。

8. 伴に学ぶこと

選手の気づきが、指導者の学びにもつながる。

9. 多面的な見方をすること、そのことを伝えること

一つの角度で判断せず、見えない面に想像を向ける。

10. 信じて待つこと

芽が出る時期は人それぞれ。焦らず、信じて待つ。

11. 問いかけを重ねること

答えを与えるのではなく、自分で探す力を育てる。

12. 成長が起きやすい環境を整えること

場づくりが心づくりにつながる。

13. 指導者自身が鏡であること

言葉よりも、背中で語る姿勢が伝わる。

14. その人自身の未来に手を添えること

目先の結果ではなく、10年後を見据える。

15. 選手を見捨てず、諦めないこと

つまずいた時こそ、信じる力が問われる。

16. 目に見えない変化を見逃さないこと

表情や姿勢、まなざしに、成長の兆しは現れる。

17. 多面的なまなざしを育むこと

正解が一つではない世界に生きる力を養う。

18. 問いを立てる力を引き出すこと

思考の深まりが、その人の本質的な成長になる。

19. 選手とともに在ること

共に悩み、喜び、変化していく関係であること。

20. 自分自身を育て続けること

育成とは、指導者自身の育ちでもある。


この20箇条は、完成されたものではありません。

選手と向き合うたびに、わたし自身が問い直し、磨き続けていくものです。

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