婦人科系の不調
“練習には出られる。でも、どこか不調を抱えたまま”
婦人科系の症状は、目に見えにくく、声にも出しづらい。
でもだからこそ、「小さな変化」や「身体のサイン」に気づくことが大切です。
女性アスリートの身体を守るために、今できることがあります。
婦人科系の不調とは?
婦人科系の不調は、生理痛やPMS(生理前症候群)、更年期症状、冷え、不妊など多岐にわたります。
これらは「婦人科の問題」として片づけられがちですが、実際には 自律神経の乱れ や 内臓の機能低下、筋緊張や血流障害 など、全身のバランスと深く関係しています。
たとえば、月経の乱れや下腹部の張りは、腸の働きや呼吸の浅さと結びついていたり、ストレスと自律神経の関係性から症状が強まったりすることもあります。
学生アスリートへの指導の帰り際に起きたこと
「この子、お腹がちっとも柔らかくならないんです」
ある学生アスリートの指導の帰り際、ペアの選手が不安そうに声をかけてきました。
時間がない中でしたが、その選手のお腹に手を当てた瞬間、右手の下でゴロゴロと大きな塊が動くのを感じました。
問いかけると、その選手は普段から腹痛に悩み、痛み止めを飲みながら練習を続けていること、中学2年から月経が止まっていたことを話してくれました。
その後すぐに病院で検査を受けた結果、3kgに達した卵巣嚢腫が見つかり、一部が癌化していたことが判明。すぐに手術が行われました。
この経験を通じて、私は強く実感しました。
「本人が声に出さない・出せないサイン」に、誰かが気づく必要があるということ。
そして、日々の身体のコンディショニングを通して、早期にそのサインを感じ取ることができるという可能性です。
東洋医学と身体全体の見立て
東洋医学では、女性の身体に深く関係する「腎」「肝」「脾」の働きを整えることが、婦人科系の不調を改善する鍵と考えられています。
また、「血(けつ)」の巡り、「気(き)」の流れも大切にします。
- 「肝」は血を貯蔵し、情緒とも関係
- 「脾」は栄養や水分の吸収と、子宮や卵巣の安定に影響
- 「腎」は成長・生殖・ホルモンバランスを司る源
腹部や骨盤まわりのこわばりがあると、これらの働きも滞ってしまいます。
当院での見立てと施術の特徴
当院では、婦人科系の症状を「局所の問題」としてだけではなく、
内臓の状態・筋肉や皮膚の緊張・呼吸・姿勢・自律神経の状態などを丁寧に見立てたうえで施術を行います。
- お腹まわりの緊張や冷えの評価
- 骨盤内の血流や循環の確認
- 自律神経の状態やストレスへのアプローチ
- 必要に応じたやさしい刺激や鍼灸
本人が「何となく気になる」と感じている小さな違和感こそ、大きなサインかもしれません。
こんな方に
- 生理痛が強く、練習や試合に影響が出ている
- 月経周期が乱れやすい、あるいは止まっている
- 妊娠に向けて身体を整えたい
- 更年期の不調や冷え・不眠などが気になる
- 腹部に違和感や張りを感じているが、相談しづらい
一緒に身体を見つめなおしてみませんか?
婦人科系の不調は、ときに周囲からは見えず、本人すら慣れてしまっていることがあります。
「我慢して動けるから大丈夫」ではなく、
「自分の身体に目を向けてみよう」と思えるタイミングを、大切にしていただけたらと思います。
コンディショニングは、身体を整えるだけではなく、
「自分自身の感覚に気づくための時間」でもあります。