局所のエラーが、全体の流れを乱す
ある選手のプレーを見て、「なんだか動きが重たい」と感じることがあります。
フォームを分析しても、大きな問題は見当たらない。
しかし、どこか“流れ”が滞っている——
そんな感覚を覚えるのです。
実はその背景には、
身体の一部に起きた“センサーエラー”が、連鎖的に全体へ広がっている
ということが少なくありません。
たとえば、足首の小さなねじれ。
あるいは、胸郭のわずかな硬さ。
それらは、感覚受容器の不一致や、わずかなズレを引き起こします。
その情報のズレが、中枢に伝わり、
無意識のうちに「不安定だから守ろう」とする身体の反応を呼び起こす。
結果として、余分な力が入ったり、逆に力が出なくなったりして、
全体の動きに“詰まり”が生まれるのです。
このようなケースに対して、
筋力や技術を直接的に修正しようとしても、なかなか成果が出ません。
必要なのは、ズレの“起点”を見つけ、そこに触れて情報を整えること。
つまり、センサーを通じて局所の“異変”を察知し、
身体全体の流れを整えていく視点です。
わたしは、
「どこを整えるか」よりも、
「どこから整えはじめるか」の方が、はるかに重要だと考えています。
そして、それを教えてくれるのが、
皮膚や関節、筋膜に存在する“感覚受容器=センサー”なのです。
センサーからの情報が正確になれば、
身体は自ら連動を回復しはじめます。
一見バラバラだった動きが、自然と繋がりを取り戻していく——
その過程を見届けるたびに、
わたしは「身体とは、本来ひとつの流れなのだ」と実感するのです。