「変化を起こすスイッチ」は、どこにあるのか?
センサーへのアプローチを重ねるなかで、
わたしの中にひとつの問いが浮かぶようになりました。
「変化を起こす“スイッチ”は、施術者の側にあるのか、それとも、本人の中にあるのか?」
もちろん、外からの働きかけ——
すなわち、触れる・導く・整えるといった支援は必要です。
けれど、それだけでは“変わった”とは言えない。
変化とは、本人の中に何かが生まれることだと思うのです。
では、どうすればその“何か”が生まれるのか。
わたしがたどり着いたひとつの答えは、
センサーを介して、「自分の動き」に気づくことでした。
たとえば、皮膚や筋膜の一部にそっと触れ、
そこを起点にゆっくりと動いてもらう。
ただそれだけで、姿勢の変化や、接地感の変化、呼吸の通りなどが起こることがあります。
これは、タッチと動きがつながった瞬間です。
このとき重要なのは、触れる側が“操作”しすぎないこと。
変化を「起こさせよう」とせず、
センサーを通して“本人が気づけるように”関わること。
すると、相手の身体の中に「動きの感覚」が立ち上がり、
自らの力で微調整を始めていくのです。
わたしはこのときの変化を、
“施術者からの働きかけ”ではなく、“本人”による変化だと捉えています。
たとえ、実際に身体のどこにも触れていなくても。
それは、自らの力で働かせ始めた「本物の感覚」。
わたしは、それをとても尊いものだと感じています。
センサーを通じて、“動きの再学習”が始まる。
そこには、治療でもトレーニングでもない、
新たな「対話の場」が生まれているのです。