「センサー」は神経系の扉だった
センサーへのアプローチを重ねていくなかで、
わたしは一つの確信を得るようになりました。
それは、感覚受容器に触れることは、神経系全体に波紋を広げる行為だということです。
皮膚、筋膜、関節包——
そこに存在する「センサー」は、単なる情報の受け取り口ではありません。
その刺激は、脳や自律神経系にまで影響を与え、全身を“整える力”を持っている。
たとえば、ふっと身体がゆるむ。
動きが軽くなる。
なぜか気分まで落ち着いてくる——
そうした“全体性の変化”が、局所への軽い刺激から始まることがあるのです。
このとき、身体の内部では、
“感覚の情報”と“中枢神経”との間に静かな共鳴が起きているのだと、わたしは感じるようになりました。
それは、術者と受け手のあいだにも起こります。
軽いタッチの中にある「気づき」が、
互いの神経系に共鳴を生み、
単なる治療や指導を超えた“対話”へと変わっていく。
わたしがコンディショニングの現場で求めてきたもの——
それは、こうした“神経の深層で響き合うようなつながり”だったのかもしれません。