「この筋肉は、なぜこんなに硬いのか?」
跳べない、走れない、力が出ない——
そうした選手の身体を観察していると、ある共通点に気づくことがあります。
それは、筋肉が異常に緊張しているということ。
姿勢も崩れやすく、関節の動きに詰まりを感じる。
触れてみると、筋肉や皮膚はとても敏感で、わずかな刺激にも「くすぐったい」「痛い」といった反応が返ってくることが多い。
それでも、レントゲンやMRIでは「異常なし」とされ、構造的な問題は見当たらない。
筋肉の柔軟性も一見保たれているように見える。
それでも「動かない」「痛い」と訴える。
こうした状態に、どう対処するか——。
わたしは、深層筋(いわゆるインナーマッスル)や骨格ラインへのアプローチを長く続けてきました。
その中で気づいたのは、「届いていない」という感覚です。
どれだけ深く押しても、どれだけ強く伸ばしても、本質的な変化に結びついていないように感じたのです。
痛みを伴う介入。
その場では変化が見られても、長続きしない。
安全性や再現性にも不安が残る。
「何かが違う」と思いながらも、日々の現場では模索が続きました。
そうして辿り着いたのが、「感覚受容器(センサー)」という視点です。
筋肉でも関節でもなく、それらに働きかける“信号”を司る存在。
つまり、
センサーが変われば、身体が変わる。
この順序に光を当てることが、わたしの探求の次なる一歩でした。