体力をつけたい。
もっと走れるようになりたい。
試合の後半でも動き続けたい。
スポーツの現場では、
とても自然に使われる言葉です。
もっと当たり負けしない身体にしたい。
疲れてきても、判断力を落としたくない。
苦しい時間帯でも、最後まで動き続けたい。
どれも、とても大切なことです。
けれど──
ここで一度、立ち止まって考えておきたいことがあります。
体力をつけるとは、
ただ追い込むことでしょうか。
ただ追い込めば良いのか
ただ走る。
ただ回数を増やす。
ただキツいメニューを行う。
ただ疲れ切るまで動く。
もちろん、そうした経験の中で得られるものもあります。
苦しい場面を乗り越える力。
自分の限界に向き合う経験。
チームで同じ時間を共有する意味。
それらを否定するつもりはありません。
ただ、身体は単純ではありません。
強い刺激を入れれば、
必ず強くなるわけではありません。
刺激を受け取る身体の条件が整っていなければ、
その刺激は成長ではなく、
疲労や痛みとして積み重なることがあります。
だからこそ、体力づくりは根性論ではなく、
刺激の設計として考える必要があります。
体力とは、ひとつの能力ではない
体力と聞くと、
多くの人は「走れる力」や「疲れにくさ」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、競技に必要な体力は、
それだけではありません。
短い距離を何度も走り直す力。
相手と接触しても姿勢を保つ力。
ジャンプして、着地して、すぐ次に動く力。
疲れた中でも判断を続ける力。
プレッシャーの中でも呼吸を乱しすぎない力。
痛みや違和感が出た時に、身体の状態に気づける力。
これらも、広い意味では体力に含まれると考えています。
特にバスケットボールのような競技では、
ただ長く走れるだけでは不十分です。
止まる
切り返す
跳ぶ
当たる
反応する
判断する
また走り出す
この繰り返しの中で、
身体と動きと意識が崩れないこと。
それが、競技に必要な体力の一部だと考えます。
刺激は、強ければ良いわけではない
体力づくりには、
さまざまな方法があります。
- サーキットトレーニング
- HIIT
- タバタ式
- 加圧トレーニング
- 血流制限トレーニング
- プライオメトリクス
- 反復スプリント
- スモールサイドゲーム
どの方法にも、
それぞれの目的や特徴があります。
短時間で心肺機能や筋持久力に刺激を入れる方法もあります。
軽い負荷で筋肉に刺激を入れる方法もあります。
競技動作の中で、反応や判断を含めて体力を高める方法もあります。
なお、これらの代表的なトレーニング方法や実践については、
別記事であらためて紹介していく予定です。
ここで大切にしたいのは、
どの方法が正しいかではありません。
今の身体に、どの刺激が必要なのか。
ここを見極めることです。
強度が高すぎれば、フォームが崩れる。
回数が多すぎれば、関節や筋肉に負担が偏る。
休息が少なすぎれば、回復が追いつかない。
身体の使い方が整っていなければ、鍛えたい場所ではなく、守ろうとしている場所ばかりが働いてしまう。
つまり、刺激そのものよりも、
その刺激をどう受け取るかが重要になります。
刺激の設計という考え方
刺激の設計とは、
単にメニューを決めることではありません。
何を目的にするのか。
どの体力要素を高めたいのか。
どの程度の強度が必要なのか。
どのくらい休息を入れるのか。
どの動作を使うのか。
どの順番で行うのか。
今の身体に、その刺激を受け取ることができる、準備があるのか。
これらを考えることです。
同じサーキットトレーニングでも、
目的によって意味は変わります。
同じスクワットでも、
速度、深さ、回数、呼吸、姿勢によって刺激は変わります。
同じジャンプでも、
跳ぶことを目的にするのか、
着地を整えるのか、
次の一歩につなげるのかで、
まったく別のトレーニングになります。
方法の名前よりも大切なのは、
何のために行うのかです。
疲れさせることが目的ではない
体力づくりというと、
どうしても「どれだけキツいか」に意識が向きやすくなります。
しかし、疲れさせることそのものが目的ではありません。
目的は、
必要な場面で力を出せる身体をつくることです。
試合の後半でも、姿勢が崩れにくい。
疲れてきても、呼吸を立て直せる。
接触を受けても、次の動きに移れる。
判断が遅れた時に、自分で修正できる。
痛みや違和感が出た時に、早く気づける。
そうした状態に近づけていくことが、
体力づくりの本質だと考えています。
そのためには、
ただ強い刺激を入れるだけではなく、
刺激をきちんと受け取ることができる、身体の条件を整える必要があります。
整える
動ける状態をつくる
適切な刺激を入れる
回復する
また状態を確認する
この循環の中で、体力は積み上がっていきます。
次回は、Epoch Five®︎の5本柱から、
体力づくりをどのように捉えるのかを整理していきます。
