腰痛は“腰だけの問題”ではない
― 腹圧と内臓から読み解く痛みの背景
初回公開日:2025年4月5日
最終更新日:2025年4月5日
はじめに
腰痛は多くの人が経験する一般的な症状ですが、その原因は多岐にわたります。近年の研究では、腰痛の約8割が内臓の不調に起因する可能性が指摘されています。
本記事ではまず、「腹圧」と「呼吸」に注目し、腰部の安定性や痛みとの関係を解説します。
腹圧と腰部の関係
腹圧とは、腹腔内の圧力のことで、腰椎を前方から支える働きを持ちます。横隔膜の上下動や腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋の協調により、この圧力が保たれています。
適切な腹圧が保たれていれば、腰椎への負担は軽減され、姿勢の安定やスムーズな動作が可能になります。しかし、呼吸が浅くなることで腹圧が低下すれば、腰部の支持が崩れ、痛みが生じやすくなります。
呼吸と腹圧で整える身体の内圧
深い呼吸によって横隔膜をしっかり動かすことは、腹腔内圧を適正に高め、内臓の安定と姿勢の安定をもたらします。
- 腹式呼吸で内臓を支える力が高まる
- 骨盤底筋群や腹横筋の協調が促進される
- 腰部の深層安定性が自然に整ってくる
これは、単に筋肉を鍛えるというよりも「内側の圧を呼吸で整える」アプローチです。
まとめ:まずは“内圧の質”から見直す
腰痛は、筋肉や骨の問題だけでなく、「呼吸」や「腹圧」といった内側の機能に起因するケースも多くあります。
現場での指導や施術では、腹圧の調律や呼吸の深さを整えることで、「腰の違和感がふっと軽くなる」瞬間に何度も立ち会ってきました。
次回は、“内臓の状態”が腰痛にどう関係してくるのかを深掘りしていきます。
参考文献・資料
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内藤浩 ほか「腰痛症の統計的観察」千葉大学学術成果リポジトリ
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900111868/KJ00005667425.pdf -
小林奈緒 ほか「看護師の腰痛に関する文献検討と腰痛予防・改善に向けた今後の課題」日本看護研究学会誌(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/advpub/0/advpub_20220509187/_pdf