「メンタルを強くしたい。」
スポーツの現場では、よく耳にする言葉です。
最近あらためて、
「メンタル(Mental)」という言葉を耳にする機会が増えたと感じています。
もちろん、
その言葉自体を否定するつもりはありません。
しかしわたしは、
「メンタル」という言葉は、
もう少し慎重に使うべきではないか?
と考えています。
その場で選手の表情が明るくなった。
声が出るようになった。
プレーが積極的になった。
それだけで、「メンタルが変わった」と
言えるのでしょうか?
その日は、
たまたま調子が良かっただけかもしれません。
指導者の言葉によって、一時的に気持ちが高まっただけかもしれません。
もちろん、
その変化自体は素晴らしいことです。
しかし、それを
「メンタルが育った」
と結論づけるには、
少し早いように思うのです。
では、わたし自身は「メンタル」を
どのように捉えているのか。
その考え方の土台になっているのが、
Epoch Five®︎です。
Epoch Five®︎では、
Body(身体)
Movement(動き)
Mind(意識)
Spirit(心・魂)
Knowledge(知識)
この5つを柱としています。
Mental(メンタル)は、
5本柱の中に入っていません。
それは、
メンタルを軽視しているからではありません。
むしろ、試合や練習の中で表れるメンタルを考えるからこそ、
その土台となるMindやSpiritを
丁寧に育てていく必要がある
と位置づけているからです。
Mind(意識)とは、
身体を感じ、動きを捉え、
それらを統合していく中心となるものです。
そして、Epoch Five®︎全体の中心に置いているものでもあります。
Spirit(心・魂)とは、
その意識の奥にあり、
何のために取り組むのか、
どのような選手や人間でありたいのかを支える
心や魂の在り方です。
どちらも、
一度の声かけや一度の成功体験で
育つものではありません。
毎日の練習や生活、
失敗との向き合い方、
仲間や指導者との関わり方。
そうした日常の積み重ねの中で、
少しずつ形づくられていくものです。
メンタルは、
試合や練習、その瞬間の状況によって
揺れ動きます。
だからこそ、その時々のメンタルだけを評価することには
慎重であるべきだと考えています。
だからこそ、メンタルそのものを直接変えようとするのではなく、
その土台に目を向ける必要がある
と考えています。
調子の良い日もあれば、
思うようにいかない日もあります。
自信を持ってプレーできる時間もあれば、
迷いや不安が大きくなる時間もあります。
その揺れを、
完全になくすことはできません。
しかし、
土台となるMindやSpiritが育っていれば、
メンタルが揺れたとしても、
大きく崩れず、
自分の役割や取り組むべきことへ
戻ってこられる。
大切なのは、
常に揺れないことではなく、
揺れたあとに戻ってこられる力を育てていくこと。
ではないかと思います。
さらに昨今では、
「メンタルのスタミナ」
という言葉も耳にします。
試合が進み、
疲労が重なり、
思いどおりにならない状況が続く。
判定に納得できない。
ミスを重ねる。
相手に流れを持っていかれる。
そのような状況でも、
集中や判断を大きく崩さず、
自分の役割を果たし続ける。
そこには確かに、ある種のスタミナが必要なのだと思います。
しかし、その力も、
試合中の声かけによって
突然生まれるものではありません。
日常の中で、
うまくいかない状況と向き合い、
考え、選び、戻る経験を積み重ねる。
その積み重ねが、
本番で揺れたメンタルを支える
土台になります。
なお、このような考え方は、
わたし自身が基本的にパートタイムコーチであることとも、無関係ではありません。
毎日、選手たちと生活をともにしているわけではありません。
週に一度。
月に一度。
数か月に一度程度の関わりとなるチームもあります。
限られた時間の中で、
一時的に選手の気持ちを高めることは
できるかもしれません。
しかし、
その働きかけがなくなったあとにも、
選手自身の中に残るものを育てなければ、本当の意味での変化にはつながっていきません。
だからこそ私は、
その場だけの変化ではなく、
選手が日常へ持ち帰ることのできるもの
を大切にしています。
そして、
MindやSpiritは、
単独で存在するものではありません。
Body、Movement、Knowledgeとも、
密接に関係しています。
身体が整うことで、
自分や周囲の状況を落ち着いて捉えやすくなることがあります。
動きが変わり、
できなかったことができるようになれば、
自信や余裕が生まれることもあります。
自分の身体や動きを理解し、
なぜうまくいかなかったのか、
次に何をすればよいのかが分かれば、
不安が小さくなることもあります。
反対に、
考え方や取り組む理由が変わることで、
身体や動きへの向き合い方が変わることもあります。
Epoch Five®︎の5つの柱は、
互いに影響し合い、
支え合いながら、
ゲームや練習で表れるメンタルの土台を
形づくっていきます。
だからわたしは、
「メンタルだけ」を
切り離して考えることはしません。
目に見える表情や反応だけで、
強い、弱いと決めるのではなく、
その選手が日常の中で何を考え、
何と向き合い、何を積み重ねてきたのか。
そこまで含めて、
一人ひとりの成長に向き合っていく。
だからこそ、メンタルだけを評価するのではなく、その土台を育てるための
Epoch Five®︎なのです。
気づいた人から、変わり始める
