更地から家を建ててもらった人、
あるいは家づくりに関わった人なら、
きっと分かることがあると思います。
家は、いきなり建物が立ち上がるわけではありません。
地中と地面を整え、
土台をつくり、
見えない部分を安定させていく。
わたし自身、
自宅を建てている時に、
この基礎の段階には、思っている以上に時間がかかるのだと感じました。
けれども、
基礎が安定してくると、
そこから一気に家が立ち上がっていくように見える。
これは、
人の身体や動きにも似ています。
やはり、
基礎や基本の構築には、
思っている以上に時間がかかります。
立つこと。
呼吸すること。
重心を感じること。
力を抜くこと。
必要なところに力を入れること。
自分の身体の状態に気づくこと。
一見すると、
とても地味です。
すぐに結果が出るものでもありません。
けれども、
そこが少しずつ整ってくると、
その後の動きの変化は大きくなります。
ただ、家と人には
大きな違いがあります。
家の場合、一度建ってしまえば、基礎部分を何十年も触らないことがほとんどです。
もちろん、点検や補修はあります。
それでも、
基礎そのものを日々つくり直すようなことは、
基本的にはあまりありません。
しかし、人の場合は違います。
人の基礎や基本は、
構築や修正に、継続して取り組み続けることができます。
身体はメンテナンスできる。
感覚は修正できる。
動きは更新できる。
意識は育てていくことができる。
時間はかかります。
それでも、
見直し続けることができる。
ここに、
人間の身体の面白さと、
コンディショニングの大切さがあるのだと思います。
ここで一つ、スポーツに当てはめた時の問題があります。
多くの人が、
本気で身体を動かし、
本気で競技に向き合える時間は、
学生時代に集中しています。
小学生。
中学生。
高校生。
大学生。
その限られた時間の中で、
身体の基礎、
動きの基本、
意識の使い方までを、
高い次元で身につけていくことは、
実はかなり難しいことです。
多くの場合、
基礎や基本の本当の大切さに気づき、
十分に深めていく前に、
時間が過ぎてしまうことがあります。
ただ、だからこそ、
早い段階から知っておくべきことがあります。
スポーツを通じて
身につけられる基礎や基本は、
競技だけで終わるものではありません。
身体を感じる力。
自分を整える力。
変化に気づく力。
うまくいかない時に立て直す力。
継続して取り組む力。
これらは、
生涯にわたって使えるものです。
もちろん、基礎や基本の身につき方には個人差があります。
それでも、
身体を感じる力や、
自分を整える力は、
早い段階から育てておく価値があると感じています。
だからこそ、
それを知らないまま、
体験しないまま、
学生時代の時間が過ぎてしまうことは、
とても大きな損失だと感じています。
コンディショニングは、
単にケガをしないためだけのものではありません。
もちろん、
痛みを減らすこと。
動きやすい身体をつくること。
パフォーマンスを高めること。
それらも大切です。
でも、それだけではありません。
コンディショニングとは、
自分の身体に気づき、
自分を整え、
自分の可能性を少しずつ引き出していくための土台づくりです。
家の基礎は、
一度つくったら簡単には変えられません。
でも、人の基礎は、
いつからでも見直すことができます。
時間はかかる。
だからこそ、早く始めた方がいい。
そして、
始めた人から少しずつ変わっていく。
気づいた人から変わり始める
