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即時効果は出ているのに積み上がらない理由
|ドリル・トレーニングが続かない本当の原因

即時効果は出ているのに、なぜ積み上がらないのか

トレーニングやドリルで一時的に良くなるのに、なぜ継続しないのか。

現場ではよく見られる現象です。

自チームに対して、ドリルAを実施する。筋力が足りないと判断され、トレーニングBを導入する。

すると、その場では変化が現れます。動きが良くなり、反応も良くなり、「良い方向に向かっている」と感じられることがあります。

しかし数日後、再びうまくいかなくなる。そこでトレーニングCやフットワークDを追加する。そしてまた少し変わる。しかし、やがてまた崩れていく。

この流れは、スポーツの現場では珍しいことではありません。

即時効果が出る流れの中で起こっていること

ここで本来問うべきは、単に「次は何を足すか」ではありません。

◎そもそもドリルAは適切だったのか。
◎その説明は十分に伝わっていたのか。
◎B・C・Dは本当に必要だったのか。

こうした問いが必要になります。

多くの場合、A・B・C・Dのような取り組みは、「何をやっているか」が分かりやすく、効果や方法が可視化されているから採用されます。指導者にとっても、選手にとっても、手応えを持ちやすいからです。

ただし、可視化されていることと、定着していることは同じではありません。

なぜ継続しないのか

それにもかかわらず、なぜ継続しないのか。

それは、可視化されにくい部分に、ズレやエラーが残っているからだと考えられます。

理解、認識、感覚、浸透度、再現性。
日常の中での使われ方。
身体内部の協調。
無意識の反応。
こうした部分が十分に整っていなければ、その場で変化が出ても、数日後には戻ってしまうことがあります。

つまり、方法が効いたのではなく、一時的に条件が揃っただけということもあり得るのです。

その結果、次はE、F、G、Hと、別の方法が追加されていく。これは一見すると試行錯誤ですが、見方を変えれば、短期的な変化を消費し続けている状態とも言えます。

見えざる部分とは何か

ここで重要になるのが、いわゆる見えざる部分です。

それは、フォームとして見える部分の奥にあるものです。
たとえば、本人が何を理解しているのか。
どこに意識が向いているのか。
どの感覚を頼りに動いているのか。
その取り組みが、練習の時間だけでなく、日常や他の場面にも浸透しているのか。

こうした部分は、数値や見た目だけでは分かりにくい。だからこそ、見落とされやすい。
しかし、実際にはここが整わなければ、再現性は育ちません。

一度うまくいっても、次に再現できなければ、それはまだ積み上がっているとは言えないのです。

この「見えるものの奥にある層」を考える視点は、意識と身体 その①や、意識と身体 その②でも、別の角度から触れてきたテーマです。

買い物症候群・ウインドウショッピング現象としての試行錯誤

この構造は、スポーツだけではありません。治療の世界でも、勉強の世界でも、仕事の世界でも起こります。

「これが効く」「次はこれが良い」と、方法を探し続ける状態。これは、ある意味では買い物症候群であり、ウインドウショッピング現象でもあります。

良さそうなものを見つけては試す。少し手応えがある。しかし定着しない。するとまた別のものを探す。その繰り返しです。

そこには、目の前の変化を求める切実さがあります。だからこそ、一概に否定できるものではありません。ただ、その循環だけでは、本質的な積み上がりが弱くなる可能性があります。

即時効果を追いかけることのメリットとデメリット

即時効果には、もちろん意味があります。その場で変化が出れば、本人に希望が生まれます。指導者にとっても、方向性の確認になります。入口としては非常に大切です。

しかし一方で、即時効果だけを追いかけ続けると、浸透度合いが低くなること他責思考が伸びる可能性があること結局何も残らない可能性があることといったデメリットも出てきます。

見えざる部分を追いかけることのメリットとデメリット

一方で、見えざる部分を丁寧に追いかけることにも、デメリットはあります。

見えにくいので不安になりやすい、時間も必要になる、これで良いのかと迷いやすい。
また、多様な取り組みを次々に増やすことが難しくなるため、明るい雰囲気も出にくいかもしれません。
場合によっては、自責思考が強くなりすぎることもあります。

ただし、その過程を通して初めて、理解や感覚や再現性が育っていくこともあります。
見えないから価値が低いのではなく、見えにくいからこそ丁寧に扱う必要があるのです。

結論|両方必要である

こうして俯瞰してみると、結局よく分かることがあります。

可視化された方法も必要であり、見えざる部分への眼差しも必要である。

そして本当に大切なのは、方法を増やすことではなく、今どの層に対して介入しているのかを見極めることです。

ズレている場所を見ないまま方法だけを増やし続ければ、時間をかけているようでいて、実は短期消費を繰り返すことになります。

逆に、見えるものと見えないものの両方を捉えながら進めていけば、変化は派手ではなくても、少しずつ積み上がっていきます。

気づいた人から変わり始める。

トレーニングが積み上がらない構造のイメージ図

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