統合された、効率的で美しい動きをするためには、各部位を分離させなければならない。
この言葉は、一見すると矛盾しているようにも思えます。
けれど、これはまさに、動きの本質をつく言葉でもあります。
たとえば──
力を出すためには、力を抜かなければならない。
この逆説と同じように、
“ひとつに見える動き”を生み出すには、
内側では、部位ごとの役割がきちんと分かれている必要があるのです。
外から見れば、ひとつの流れ。
しかし内側では、
- 肩甲骨と肋骨
- 胸椎と骨盤
- 股関節と腰椎
といった構造がそれぞれ独立して動けているからこそ、全身の“連動”が生まれる。
洗練された動きとは、「固めること」ではなく、「連携すること」。
そのために必要なのが、
分離された感覚(Differentiation)と、それをつなぐ意識や軸感覚です。
🔹 仙骨という“静かな中枢”
たとえば「仙骨」。
動きの中心とも言えるこの部位が、実際に大きく動くわけではありませんが──
仙骨が“動く”というより、
仙骨を“感じ取れる”ようになることで、
力の通り道や、全身の“しなり”が生まれるのです。
これは、構造ではなく感覚としての捉え方です。
つまり、動きを「ひとつの塊」として固めてしまうのではなく、
各部位が柔軟に機能しながら、結果として“ひとつに見える”状態をつくっていくこと。
これこそが、統合された動きの本質だと、わたしは考えています。
