“感じること”から始めるコンディショニング
■ はじめに:いよいよ「自分たちだけで向き合う」タイミング
これまで、先輩たちとともにいくつかのセッションに参加してきた1年生たち。
今回は、そんな彼らが“自分たちだけ”でコンディショニングに向き合う、初めての時間となりました。
まだ経験も浅く、競技歴や身体状況にも個人差が大きいこの時期。
だからこそ、いきなり専門的な話に進むのではなく、「自分の感覚をどう捉えるか」から始めることに意味があります。
以下は、彼らに語りかけたセッション冒頭の要点です。
■ セッション冒頭の要点
① センサーの働きとスポーツとの関係:
- センサーは過敏すぎても鈍すぎてもパフォーマンスに悪影響
- 脳が刺激を判断するため、正確な反応を育てることが重要
- 正常な感覚は動きの質を高める第一歩
② 足関節のズレとその影響:
- 足は片足28個の骨で構成され、非常に細かくズレやすい
- 捻挫経験がある人は、ほぼ100%ズレがあると考えられる
- ズレは全身の歪みに波及し、パフォーマンスに影響
③ 呼吸と横隔膜の動き:
- 吸うと横隔膜は下がるが、意識的に逆も可能(逆腹式)
- 無意識ではできない動きも、意識すれば可能
- “見えない部分”の意識がパフォーマンス向上に繋がる
④ 数字に出ない努力の価値:
- 得点などのスタッツに出ない部分が試合を左右する
- ルーズボール、確実なコンタクトなど“見えない貢献”
- 地道な取り組みを積み重ねることが鍵
⑤ 危険信号としての痛み:
- 痛み・くすぐったさ・硬さは“侵害刺激”という危険信号
- 強く押すことで逆に筋肉が固まることも
- 優しく整えることで感覚と動きが改善
⑥ 自分の身体と向き合う:
- 我慢だけで乗り切ろうとしない
- 体調が悪い時は申告・休憩も大切
- “自分で自分の身体を管理する力”も育てるべき能力
⑦ 今日の目的と今後の方向性:
- 深層筋の活性化、関節の正常化、感覚の向上が目的
- 自由神経終末が痛みに関与
- やわらかく整え、仲間とともに少しずつ進んでいく
■ 本当は一度で伝わる話ではない
この内容のすべてが、1回で腑に落ちるとは思っていません。
けれど、最初にこの話をすることで、彼らが今後「自分の感覚に気づく」「違和感をそのままにしない」といった、成長に欠かせない視点を持てるようになると信じています。
身体を整えるというのは、単に動きを良くするということではなく、
「自分の身体に耳を傾ける習慣を持つこと」だと、わたしは考えています。
■ おわりに:地味な第一歩こそが、分かれ道になる
高校1年生の段階で、派手な技術や派手な成果ばかりを追うのではなく、
見えない部分を感じ取り、整える力を育てていくこと。
それが、最終的に「試合で違いを生む選手」としての分かれ道になるのだと思います。
今後も、こうしたセッションを丁寧に記録しながら、
「現場から言葉を掘り起こす」営みを続けていきます。