観るだけ、読むだけ、聞くだけ——
いま、選手たちの身体は、静かに歪み始めています。
情報はあふれているのに、なぜ、変わらないのか。
本当の“変化”を生むには、3つの条件があります。
そして、それを支えるのが、わたしが掲げる「Epoch Five」という考え方です。
情報はあふれているのに、なぜ——?
たくさんの情報が、スマホやタブレットを通じて簡単に手に入る時代になりました。
熱心な指導者の方々は、それらを活用し、日々研究と実践に励んでおられることでしょう。
それでもなお、現場では——
捻じ曲がった身体、閉じた心が、後を絶たず生まれ続けています。
なぜなのか。
動画を見るだけでは変われない
動画を見て、そこに出てくるストレッチやトレーニングを真似する。
——たしかに、その一歩は大切です。
でも、それだけでは本当の意味での変化は起こりません。
やはり、実際に現場で講習を受けること。
それがあるかないかで、得られる気づきや感覚にはとてつもない差が生まれます。
「自分で動いてみる」「誰かと組んで触れてみる」「その場で感じる」
こうした体験によって、身体と心に刻まれる“学び”があります。
「触れる」には責任がある
ただし、触れることには、技術と責任が伴います。
感覚のずれた触れ方、安易な模倣では、逆効果になることもあります。
だからこそ、国家資格という枠組みが存在するのです。
わたしははり師・きゅう師として、
「触診」を通じて、患者の身体の中にある深い情報を受け取ってきました。
それは、筋肉や関節の状態だけではなく、
神経や内臓、呼吸や循環、そして無意識の緊張や滞りまでも含みます。
触れることでわかることがある。
触れることで気づけることがある。
そしてその「気づき」は、
選手自身が自分の身体を守り、活かす力へと繋がっていきます。
警鐘:変化のための3つの要素
それは、決定的に足りていないものがあるからです。
- 触れて、確認すること
- 意識して、動かすこと
- 選手自身が、知っていること
——この3つです。
しかし、これらの重要性を本当の意味で理解し、
日々の指導や関わりに活かせている指導者は、ごくわずかです。
わたしはその現実を、現場で何度も、何度も目の当たりにしてきました。
だからこそ、見た目だけをなぞるようなトレーニングが蔓延し、
「とりあえずやっておけばいい」という形だけのコンディショニングがまかり通ってしまう。
でも、それでは身体も心も、変わるはずがありません。
“触れる・意識する・知る”の3つが揃って、はじめて変化が始まる。
むしろ、ここが揃わなければ、スタートラインにすら立てていないのです。
これは、いままさに現場に鳴らすべき警鐘です。
毎日、選手たちの身体は変化しています。
それを見過ごしたままでは、本当の成長の機会を失ってしまう。
指導の在り方そのものが問われている——
わたしはそう強く感じています。
だからこその「Epoch Five」
このような背景があるからこそ、
わたしは5つの柱を大切にしています。
Epoch Five
身体・動き・意識・心・知識
これは単なる言葉ではなく、
現場で必要とされる5つの力であり、
選手自身が持つ“身体の叡智”を呼び覚ますための土台です。
- 身体(Body):その人の“いま”の状態を正確に知ること
- 動き(Movement):支える力と繋がる力を育てること
- 意識(Mind):自分の状態に気づき、丁寧に関わること
- 心/魂(Spirit):挑む姿勢や、仲間との関係を育むこと
- 知識(Knowledge):知らないことを知り、選択できること
これらが響き合うことで、
単なる技術ではない「自分の使い方」が身についていきます。
現場から、未来へ
スマホの情報では育まれない感覚。
動画だけでは得られない確信。
選手の身体と心が、
より自由に、よりしなやかに動けるように。
Epoch Fiveを通じて、
そんな未来を支えていきたいと考えています。
