はじめに:腰が痛い。でも、原因は腰じゃなかった?
今回ご紹介するのは、高校生のバスケットボール選手の症例です。
数ヶ月続く腰痛に悩まされ、整形外科や接骨院を受診したものの、明確な異常は見つかりませんでした。
身体の声を聴く:問診と脈・腹診から見えてきた“本当の原因”
当院でお話を丁寧に伺うと、「冷たいものを食べたあとにお腹が痛くなり下痢になる」という自覚がありました。
脈を診ると“脾虚”の傾向、腹部には胃の周囲に強い硬結。
この情報から、腰痛の本質は「胃の不調=腹膜の緊張」にある可能性が見えてきました。
施術のアプローチ:鍼灸と呼吸で内臓から整える
鍼とお灸で胃経を整えたあと、腹膜の緊張をやわらげる呼吸法を指導。
その場で前屈の可動域が向上し、痛みの軽減とともに笑顔も見られました。
Instagramリール
以下のリールで、実際の様子や呼吸のシーンをご覧いただけます。
補足:腹膜と腰痛の関係とは?
胃や腸といった内臓は「腹膜(ふくまく)」という膜組織で包まれており、
その腹膜が他の筋膜や結合組織とつながることで、内臓の状態が体幹や腰部の筋肉に影響を及ぼすことがあります。
特に今回注目したのは「胃の裏側」にある小網・大網・腹膜前葉の緊張。
ここが固くなると、腸間膜根や大腰筋の周囲にまで影響し、L2~3付近の腰椎周囲に牽引ストレスがかかります。
西洋医学では見落とされがちですが、東洋医学や筋膜の視点から見ると“原因不明の腰痛”の隠れた原因として注目されています。
“見えないつながり”が、痛みの鍵になることも
今回のように、痛みのある部位とは別の“見えない原因”が隠れていることは珍しくありません。
「なかなか良くならない腰痛」「検査では異常がないのに…」という方は、ぜひ一度、内臓と身体の“つながり”にも目を向けてみてください。
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東池袋 樫の木鍼灸治療院では、症状の背景にある身体の声を大切にしています。
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