股関節の3Sムーヴメント(slow、small、smooth)の一つです。
椅子にまっすぐ座り、小さく足を床から持ち上げる動きになります。
◎足は床から1mm上げる(必然的にゆっくりになります)。
◎まっすぐ座ったまま、上半身や骨盤の角度を動かさない。
側から見ていると何にもしていないように見えますが、きちんと行うと、数回で脚の動きがかなり変わります。
コンディショニングの際には、選手たちにこういった小さな動きから取り組んでもらっています。
今回はこの小さな動きを、もう少し進めてみることにしました。
以下、少し長くなりますが説明します。
上記の、床から1mm足を上げる動きを行う足を遊側、反対の足を支持側とします。
最初はうまくできないのですが、段々身体が活性化してきて、少しずつ遊側をうまく上げられるようになってきます。選手たちもそれは同様です。
(もちろんそこには、その他の要素がたくさん絡んできますので、これだけを行っているわけではありません。)
しかし、ここで、遊側をゆっくり上げるために、支持側の足でかなり強く床を押していることが分かります。
これは、足ということで見れば特段問題ないのですが、体幹からということで見ると、それは代償運動になってしまうわけです。
そこで、かなり前に上げた動画にもあるのですが、支持側にできるだけ力を入れないようにしながら遊側を上げるということを行ってみます。
そうすると、ほとんど足は床から上がらなくなり、体幹を中心に股関節までしっかり使う感じが出てきます。
相当にきつい運動です。
このような流れを経た上で、数日前にハッと思い浮かんだものが、動画で行っている内容です。
発想の元は、例えば「走る」という運動からです。
走るためには、遊側と支持側の脚を、空中で一瞬のうちに入れ替える必要があります。
その動きを限りなくゆっくり行い、どこを使っているのか?何が大事なのか?といった認識を深めていこうという狙いです。
取り組みは以下の通りです。
◎支持側の足を床から少し浮かせてキープしておく(すでに支持でもなくなっていますが笑)。
◎上記のまま、床についている遊側になるはずの足を床から1mm上げてみようとする(まっすぐ座ったまま、上半身や骨盤の角度を動かさない)。
もはや読むだけでお分かりになる方も多くいると思いますが…足は上がりません笑笑
無理に上げようとすると上半身が後ろに倒れます。ほかには、上げる足の膝を曲げて床から浮いているようにしようとしてしまいます。
このように足はほとんど上がりませんが、体幹から股関節にかけて、かなりの活性化および運動になります。
「上がってないけど、上げている」ということです笑
実施した後に立って足踏みなどをしてみると、取り組み前と全然違っていることが分かります。
アップリズムの動きなども、かなりやりやすくなってきます。
ほとんど動かしていないのに変化が出るわけですから、別の見方をすれば、「運動は意識から始まる」ということがハッキリするのではないかと感じます。
さまざまなところで「股関節をしっかり使おう!」というセリフを耳にしますが…それを選手に発する前に、このようなことから感覚(身体+動き+意識)へ向けて、継続的にアプローチを行っていくべきだと考えています。
もちろん、これによるメリットおよびデメリットなどを自分自身で検証した上で、選手たちへ伝達をしています。
なお、このようなアプローチは、
◎普段なかなか使ってないところ
◎知らず知らずのうちに弱っているところ
◎体の奥の方の筋肉
◎うまく通っていない神経系…などに向けて、
色々な意味合いを持っています。
いずれにしても、それらをまとめるのは
「まずは伝達者側の意識」
と言って良いと思います。
つまり、伝達と取り組みを実施するにあたって、その根底にどんな考えやイメージ=フィロソフィーがあり、それをいかにして選手が実感を伴うように伝えるのか?
その辺りがかなり重要だと考えて、丁寧に進めております。