Diary

意識は動き

このところあらためて
重心とは?
というちょっと偉そうなことをテーマの一つにしています。

なぜかというと?

動画全盛のいま、そして様式が変わってきているいま、多くの人たちがプロ選手やコーチの動画を観て学んでいます。
それも世界中のものを観ることができます。
もちろんわたしも観ています。

そのなかで
「パワーポジションが」
「重心移動を」
「股関節を使って」
「体幹を安定させて」
「肩甲骨を動かして」

そんなセリフが簡単にポンポン出てきます。

それを観るたびに
「だから、そこが違うからうまくいかない選手が多いんだよな…」
と感じるのです。

動画でプレイの技術を説明してくれている人は、そこにはあまり言及しません。
なぜなら、本人はできてしまうからです。
もちろん、動画の説明の趣旨が変わってしまうからということもあるでしょう。

そこで選手たちに、
股関節ってどこ?
体幹部ってなに?
重心移動って?
と尋ねますが、ほとんど答えられません。
そりゃそうです。
わたしが選手のときだって絶対に答えられません。

その答えについては、指導する人によって違ってくると思います。
今はそれを言いたいのではなく、そもそも1番根底にあるところについて目を向けなければ、動画をいくら観ても多くの人は良くならない。
良くなる人はセンスのある人だけで、結局動画というツールが無かった時代と根本的には大して変わっていないと思うのです。

ダイナミックに動くのがスポーツの醍醐味です。
しかし、その根底には動きの最初の部分が存在しています(初動負荷がどうとかという意味ではありません)。
そして、その部分こそが、動ける選手と現時点ではそうでない選手に大きく違いがあると考えています。

その動きの最初の部分が例えば、
「まっすぐ座る」ことや「ゆっくり小さく動く」ことだったりするのです。
座ってんだから動いてないじゃん!と言われると思います。
しかし、実際にまっすぐ座ってそれを続けようとしてみると、身体のなかで、とてつもなく多くのもの?が動いているのを感じます。
意識がフロー状態になっていくのも分かります。
また、ゆっくり小さい動きに意識を向けて取り組んでみると、いい動きなのか、それともよくない動きなのかが、ダイナミックに動いているときより鮮明に見えてきます。

すぐにはうまくできません。
しかし、ここに意識を向けて取り組んだのちにプレイの動きを練習してみると、明らかに洗練されてくるのです。
そしてそれは、意識を向けて取り組んだことをきっかけに、選手自身が自分の感覚を育てられるようになっていっていると言えるとも思います。

これこそが「自分で自分を変えていく」ということに繋がると考えています。

いまは重心をテーマの一つにしていますが、それこそ自分と向き合わなければ絶対に分かりません。
そうすることで、そこから様々なものが見えてきます。関係性も分かってきます。
それらをヒントにして、さらに自分の身体・動き・意識を向上させていってほしいということでもあります。

身体は繋がっています。
意識は動きです。
意識で身体は動きます。

わたし自身またまだ研鑽が足りません。
引き続き丁寧に向き合ってまいります。

-Diary

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

クイックステップの感覚づくり①

先日のWEBコンディショニング(高校生男子バスケットボール部)からです。 ディッピング(沈みこみ)からクイックステップ(動きだし)について探っています。 力の出し方、抜き方などが、非常に大切ではないか …

うれしいお知らせ

いよいよ国公立大学の合格発表の時期になりました。 本日、某チームの卒業生から、 「無事、全員合格しました!」と連絡をもらいました。 思わず涙が出ました(周りにだれもいなかったので、気にせず・・・)。 …

現場で実証されていく

現地での陸上チーム・コンディショニング・セッション。 午前が男子で、午後は女子というスケジュールでした。 足へのアプローチから入って、お腹・背中・呼吸の仕方および使い方を伝達。 何度か取り組んだ結果、 …

続:画面の向こうの選手を触りにいく

本日は、WEBコンディショニングが終わった後のおまけとして、そのチームのある選手との個人セッションを行いました。 その選手は本日の開始前に、右足首の外側が痛くなったと報告してくれました。先日病院(整形 …

距骨が全身に及ぼす影響の大きさ

先日の大学生らとのコンディショニングからの動画です。 体幹部の力の抜きかたや出しかたを確認した後に、距骨の簡単な調整と3Sムーヴメント(slow、small、smooth)によって、足もとから全身の安 …