何ヶ月か前、とあるチームから初めてコンディショニング指導の依頼をいただきました。
中高男子のチームです。
初回の指導の際、あまりのひどい状態に驚きました。
学ぶ姿勢はおろか、聴く姿勢もない、虚ろな表情の面々…。
いまありがたいことに、様々なチームに行かせていただき、たくさんの経験を積まさせてもらっています。
そこでは、不快になること、きつい思い出として残っていることなどもたくさんあります。
しかしその度に、自分のチカラの足りなさ…すなわち指導内容の薄さや、目の前のうまくいかない事象にネガティヴな感情を持ってしまう弱さを痛感します。
だからその日は、あまりの崩壊ぶりをなるべく気にしないように…せめて初回の指導は明るく実施しようとしました。
しかし、指導が終盤に差し掛かったときに、ついに爆発してしまいました。
この状態を見ていて、監督は何も感じないのか?
見ているたくさんの保護者の方たちは何も感じないのか?という疑念と、
各地で楽しみ、苦しみ、工夫して、必死に取り組んでいる選手たちに要求していることと、いまここでこの連中に見せている自分の顔は違っていないか?こんな奴らにへりくだってどうするんだ?といった思いが交錯し、思わず口にしてしまいました。
「あちこち行かせてもらっているけれど、初めての講習会でこんなひどい有り様は見たことがない。
君たちは人として失礼すぎる。一体どういう教育を受けると、こんな人間になるんだ?
これを単なる仕事として考えたら、黙って時間が過ぎるのを待っていればいい。うそでも笑っていればいいからな。
しかし、そういう仕事はするつもりはない。それに何よりも、他でがんばっているたくさんのチームの選手たちに申し訳ない。こんな状態なのであれば、ここにはもう2度とこない!」
そして、あまりにも目に余った1人には、その場で体育館から退出してもらいました。
やんちゃとは違う、邪悪で薄気味悪い人間たち…。
これに迎合してしまったら終わりだと思います。
その日の指導後、監督は選手、そして保護者の方たちと話をしたようです。
あらためて依頼があり、そのチームには2回ほど指導に行きました。
結果どうなったか?
みんなで話し合った結果、
「僕たちはそこまで一生懸命やりたくはない。」
という選手(とも呼びたくない連中ですが)たちの声が出たそうで、指導はそれで終わりとなりました。
さすがに失笑してしまいました。
監督の思いはなんだったんだ?
何を求めての依頼だったんだ?
完全に無駄な時間を過ごした…と言って自分のなかで終わりにしたいところです。
しかし、あらためてわかったことがあります。
いまのコンディショニング指導は合う合わないがはっきりする。
別にわたしでなくてもできる指導者、もっとチカラのある指導者はたくさんいる(=入替可能な存在)。
それにも関わらず呼んでくれる監督の熱い思いと覚悟を受け止めて全力で指導する。
食らいついてくる選手と一緒になって模索し、後押ししていく。
さらに、監督、選手、保護者の皆さまの思いや期待を超えるような必死のチャレンジをしていく。結果を出す。
やはりこれがベースであり、その思いを揺らがせてまで取り組む仕事は楽しめないし、何も生まれないということがはっきりわかりました。
この件は、目の前のお金を稼ぐという点で言えば失敗と言えると思います。
しかし、お金がまず最初に来てしまっては本当の仕事とは言えないと感じます。
これ以上暑苦しくならないよう、視野の狭い状態に陥らないよう、常に自己否定の目と多様性を持った指導を目指していこうという考えをまとめることができました。
いま呼んでいただいているみなさんとのご縁を大切に、これからお会いできるかもしれない熱い思いの方たちとの出会いを楽しみに、日々精進していこうと思います。